■復活はファンにとって幸せなのか
SAISONというアイドルグループが存在する。2021年11月から1年間限定で活躍するアイドルユニットだが、そのメンバーに元AKB48メンバーである岡田彩花や鈴木まりやのほか、AKB時代は上遠野瑞穂として、今は芸名で活動する愛迫みゆや、同じく林彩乃から名前だけを平仮名にした林あやのも参加する。
そして、2022年6月、残り半年程度の時期に石田晴香や野中美郷が加入する。鈴木まりや、愛迫みゆ、林あやのは7期生、岡田彩花は13期生の中、石田晴香は5期生、野中美郷は6期生とまるで補強するかのように入ってきた。特に野中美郷に至っては2014年に芸能界を引退している。会社を立ち上げ、美容サロンをオープンし、実業家として活動する中、芸能界、しかもアイドルとして舞い戻ってきた。
アイドルグループを卒業してタレントとして活躍するのは別になんとも思わない。しかし、またアイドルをやろうとするのは、果たしてどういう心境なのだろう。まだ握手がし足りなかったのだろうか。ファンからすれば嬉しいかもしれないが、自分の推しがアイドルとして復活することはファンにとっては幸せなんだろうかと疑問に思う。
■元欅坂を名乗ったアイドル
YURiMentalというアイドルグループがある。韓国語でガラスのハートを意味するそうだが、その中に青野まゆというメンバーがいる。メジャーデビュー時のコメントでは、「アイドルしかやりたいことがなかった」と語っている。この青野まゆがAbemaの番組で、元欅坂46の原田まゆであることを明かした。2015年の欅坂46の結成時から参加、わずか数カ月で活動辞退に追い込まれる。そこから5年を経てアイドルとして復活した。
青野まゆに関する話はインタビュー記事を参照されることをおすすめしたい。赤裸々に振り返っており、空白の5年間で彼女が何をしたかがわかる。ただ言えることは、わずか数カ月しかアイドルをできず、アイドルに本腰を入れて取り組みたい気持ちがこの数年で芽生えたからこそアイドルとして舞い戻ったということだろう。
活動辞退の経緯はいくらでも調べれば出てくるので、ご覧になっている方々が各自検索していただければ助かるが、アイドルという仕事がいかに魅力的で、なかなか脱することのできない魔力を秘めた仕事なのかがよくわかる。
■卒業後は坂道グループで明暗はっきり
誤解を恐れずに言えば、アイドルグループでそれなりにキャリアを重ねたのにわざわざ卒業して地下アイドルになっていく人を見るのはとても悲しく感じる。完全燃焼をしていないことを示唆するほか、何かしらの未練を感じさせるからだ。青野まゆのような状況なら大変理解するが、数年活動してまだ完全燃焼しておらず、未練たらたらで辞めて再び地下アイドルとしてデビューすることに、ファンは違和感を持たないだろうかと不思議に思う。
一方で、乃木坂46の1期生のようにキー局のアナウンサーとして再びテレビに出るケースは、確かなキャリアアップであり、アイドル時代の経験をうまく活かしていると感じる。元々明確な目標があって切り替えた結果であり、斎藤ちはるのようにテレ朝を支えていく存在と言われるまでになるのは、立派なことだし、ファンも嬉しいはずである。
もちろん乃木坂46にも川後陽菜のように再びアイドルグループに参加したメンバーもいる。そして大園桃子のように会社を立ち上げたメンバーもいる。今回のSAISONにおける野中美郷は、大園桃子が数年後にアイドル活動を再開するようなものだ。まぁ大園桃子はYouTubeでよく見かけるのだが。
日向坂46は現状、全く表に出てこない柿崎芽実とバンバン表に出てこようとしてすべてが空振りに終わり、今は結婚して活動が落ち着いている井口眞緒の2人だけなので、今後増えていくとどんなことになるのか、わくわくもするが不安もある。ただ、あれだけ少数精鋭で活動し続け、全員選抜の状況でやり通してきたのに、卒業してまたアイドルをやりたいと言い出すのは考えにくい。
ちなみに、この議論は、「そんなもんは本人の自由だ!」で終わりの話である。そんなことはわかっているのだが、杉下右京よろしく「僕の悪い癖」で締めさせていただきたい。「亀山薫だって14年ぶりに相棒に戻ってくるんだからいいではないか!」と言われたら、おっしゃる通りとしか言えない。ただ14年を経て新しい味を見せた時、世間は本当に受け入れるだろうか。昔の味がよかったと言い出すのではないか。復活を受け入れるならば、ぜひとも新しい味をしっかりかみしめて飲み込んでいただきたいと思う。

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